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幻の花★この夏偶然の出会いをつづってみる。
2025.09.02
先日、仕事で訪れた某所で、思わぬ出会いがありました。
足元の草むらに、鮮やかな紅紫色の花が群生していたのです。
その小ささと、周囲の緑の中でひときわ目立つ色彩に惹かれ、思わず立ち止まってしまいました。
それは、初めて見るお花で、仕事中ではありましたが、その可憐さに心を奪われ、帰り道もその花のことが頭から離れませんでした。
家に帰ってすぐに調べたところ、その花がベニバナセンブリという、とても貴重な植物であることを知りました。
ベニバナセンブリについて、さらに詳しく調べてみることにしました。
ベニバナセンブリってどんな花?
ベニバナセンブリは、リンドウ科の二年草で、日本の固有種です。
本州の近畿地方以北、四国、九州の一部に自生していますが、その生息地は山間の湿った草原や湿原に限られています。
この植物の大きな特徴は、なんといってもその名前の由来にもなっている**「センブリ」**との関係性です。
センブリといえば、その強烈な苦味で知られる薬草。ベニバナセンブリも同じリンドウ科の植物で、同様に苦味成分を持っているそうです。
また、花の形もよく似ていることから、その名がつけられました。
花期は夏で、一般的には6月から8月にかけて花を咲かせます。
草丈は10〜30cmほどと小さく、葉は細長い線形をしています。
全体的にとても繊細な印象で、この儚さもまた、この花が「幻」と呼ばれる所以かもしれません。
私が見たのは7月下旬でしたが、まさに開花時期でした。あの鮮やかな色は、夏の日差しをいっぱいに浴びていたからなのですね。

なぜ「幻の花」と呼ばれるのか
ベニバナセンブリが「幻の花」と呼ばれる背景には、人間の活動が深く関わっています。
一つは、生息地の減少です。ベニバナセンブリが好む湿地は、開発や乾燥化によって年々失われています。
湿地は一度失われると、元の状態に戻すのは非常に困難です。
そのため、ベニバナセンブリの居場所はどんどん少なくなってしまいました。
もう一つは、盗掘です。希少な植物であることから、心無い人々による盗掘が後を絶ちません。美しい花を自宅で育てたいという気持ちは理解できますが、自然からむやみに持ち去る行為は、種の存続を脅かすことになります。
こうした状況から、ベニバナセンブリは環境省のレッドリストで**絶滅危惧II類(VU)**に指定されています。これは、絶滅の危険性が増大している種であることを示しています。私たちがこの花を当たり前に見られなくなる日は、そう遠くないのかもしれません。
今回ベニバナセンブリに出会えたことは、私にとって、自然の豊かさと同時に、その脆さを知る貴重な経験となりました。
この時期、もし山や湿原を訪れる機会があれば、少しだけ足元に目を向けてみてください。もしかしたら、あなたも「幻の花」との素敵な出会いがあるかも・・・^^☆彡
参考文献
- 環境省レッドリスト
- 各地の植物図鑑