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学生時代の芸術作品を初公開!「気持ち悪い」は誉め言葉?対人関係にも通ずる言葉の表裏一体
2022.06.27
【ブログを書いた人】
ハンドルネームは「現場女子1号」。20代半ば。海外のいろんなところで子供時代を送るという特殊な人生を歩んでいる人。普段は現場でグラファイトを機械で加工したりたまに修正箇所を溶接したりしてる。鉄板を加工する機械の触り方も勉強中。最近は学生時代に趣味でやってた動画制作を仕事に活かして金型の加工動画を編集してる。
芸大生や美大生、実際アーティストとして活動してる人って何考えてるか分からない
そう思ったことありませんか?
結論から言います。
そういう道を目指している人は言うまでもなくだいたい変人や変態です。
もちろんいい意味で。
私は芸術系大学出身なのですが、高校生でそこを目指していた時から、何かのデザインをクラスで決めるときに案を出すと
現場女子1号は芸大目指す子だから……
と賛成も反対も意見をもらえないまま無視されていました。
その場がしらけるのは日常茶飯事。
いわば変人扱いですよね。
まぁ変人は否定しませんが。
ただ全く何も考えずに、単なる思いつきだけでこの世に作品を生み出しているわけではなく、ちゃんとその人なりに考えがあり、その考えをもとにその人の世界を広げています。
人にもよるんだけどね。
上記を踏まえて、私が学生時代に作っていた作品をご紹介します。
学生時代の作品を振り返る
大学3年生のときに「生き物のお面を作る」という課題を出されました。
生き物ならば何でもいい。
ルールはたったこれだけ。
この世に実在しない生き物でもいい。
リアルっぽく作るか、かわいくデフォルメ化させて作るかも自由。
そして私が作ったのはこちら。
これは『出目レオン』という作品です。
黒い出目金とカメレオンを足して2で割った、いわゆるキメラを作りました。
え、何これ気持ち悪……
と思ったそこのあなた、大正解。
さて、私は何を考えてこれを作ったでしょう?
私はこの課題を出されたときに、まず夏祭りのお面屋を想像しました。
キャラクターものしか置いていない印象がありますが、それを言語化してみると「かっこいい」または「かわいい」ものが置いてある。
つまり見た目に「美しい」ものが並んでいますよね。
ならば、私はその逆を作ろうと思いました。
かっこいいリアルなライオンのお面や、かわいくデフォルメ化されたうさぎのお面などが並んでいる。
その中に1つ、気持ち悪い見た目のお面があったとしましょう。
通りすがりのお客さんはそれを見て、
うわ、何あれ
気持ち悪い
と言って大半の人は買わずに素通りします。
ところが、今はSNSの時代。
興味を持ってくれる人がいないとは限りませんよね。
みんな見て見て!
めっちゃ気持ち悪いお面見つけた
これここでしか見れないかもしれない!
と誰かが写真付きで発信したとしましょう。
拡散されて見に来る人が全くいないわけがない。
世界にはいろんな人がいますので、怖いもの見たさ、気持ち悪いもの見たさに人が寄ってくることはなきにしもあらず。
このお面を買ってほしいから置いているのではなく、興味を持ってもらいたいからあえて置いているのです。
なぜあえてそうしているかというと、「気持ち悪い」という否定的な感想を大事にしてほしいから。
もちろん、大前提として人の容姿について言うのはよくないですが。
人によって好みが大きく分かれそうな生き物を選んだのも「気持ち悪さ」を表現したかったからです。
出目金の出ている目と、カメレオンのギョロギョロした目が何となく似ていると感じたこともあり、掛け合わせてみようと思いました。
お面は出目金の形で、地肌も黒っぽい色を選んでいます。
カメレオンっぽい緑とごつごつした肌を表現したくて、あえてたくさんの点で表現したのもポイント。
集合体恐怖症の方、申し訳ありません。
本来、出目金もカメレオンも目は横向きなのですが、お面の構造上正面向きになってしまいました。
これはこれで不気味さが演出できてると思いませんか?
また、お面なのに目からではなく鼻の穴から外を見るという構造になっています。
大きすぎたのは設計ミスかもしれませんが、気持ち悪いと思ってもらえるならよし。
前述のとおり、この作品に関しては「気持ち悪い」という感想を大事にしてほしくて作ったので、「気持ち悪い」は誉め言葉です。
どんどん言ってください。
学生時代に考えていたこと
今でもずっと好きな単語は「表裏一体」という四字熟語。
言葉にはだいたい表と裏があり、それらは紙一重であるということ。
私が学生時代に特に意識していた言葉は、「美しい」と「醜い」。
たとえばこの世界が「美しいものしかない」世界だったなら、「美しい」という単語は生まれない。
なぜなら当たり前にあるものをわざわざ「美しい」と表現しないから。
その逆も然り。
「醜いものしかない」世界で「醜い」という単語は生まれない。
その世界とは対照的な光るもの、差異があるからこそ、「美しい」「醜い」という単語が生まれる。
これはあくまでも私の持論にすぎませんが、作品を作るうえでこの考え方を1番大事にしてきました。
「気持ち悪い」を研究しようと思ったきっかけとは
「日直」あるいは「日番」という言葉は耳馴染みありますよね。
日本の教育を受けている人なら、誰もが経験したことがあるものなのではないでしょうか。
高校生の私が日直だったある日の、2時間目の体育が終わった後のこと。
いけない、黒板消すの忘れてた!
日直の仕事の中に、前の授業の黒板を消すというのがあったのですが、それをすっかり忘れていました。
1時間目の授業が英語だったので、黒板にはびっしりと英文の羅列が。
そこで私は何を思ったか、急にイタズラをしてみたくなったのです。
そのイタズラというのが、
小文字の「a」だけを残して他の文字は全て消す
今考えたらまぁ地味~なイタズラですよね。
普段はそういうことをしたいと思わないのですが、この時ばかりはなぜかワクワクしていました。
友達同士でのんびり会話しながら教室に帰ってきたクラスメートの中に、1人だけこのイタズラに反応してくれた人がいました。
なんか見られてるみたいで気持ち悪い
黒板に並んでいるのは、バラバラな位置に残ったアルファベットの「a」。
ただの文字が点在することで目のように見える。
そしてそれが見られているみたいで気持ち悪い。
この「気持ち悪い」ってどんな感情なんだろう。
ただのアルファベットが目のように見えることが気持ち悪いのか。
はたまた見られることが気持ち悪いのか。
私はこのクラスメートの感想をとても面白いと思ったのです。
これがきっかけで「気持ち悪い」を研究するようになりました。
ド変態ですねぇ。
変人扱いされるのも無理はない。
アーティスト自身が「かっこいい」「美しい」「素晴らしい」と思いながら描いた作品が、見る人によって「気持ち悪い」「不気味だ」と思うことはよくあると思います。
ところが、アーティスト自身が「気持ち悪い」ものをわざわざ生み出そうとするというのは、あまり聞いたことがないですよね。
私はアーティストというにはほど遠い存在ですが、「気持ち悪い」ものを生み出して、見る人にどこまで「気持ち悪い」と思ってもらえるのかというのを試してみたかったのです。
まとめ
みんながみんなではないかもしれませんが、芸術の道を進む人にとって賛成も反対も意見をもらえないことというのは、存在を否定されたのと同じぐらい悲しいことです。
反対意見はその人の考え方を否定するものではなく、作品をもっと良くするための大事な素材。
ある程度の言葉選びは必要だと思いますが、「こうしたらもっと味が出るんじゃないか」という意見は、作り手が見えている世界にはないものかもしれません。
料理も似て非なるところがありますよね。
作り手が何かが足りないと思って「この味どう?」と聞いてきたことに対して、「うんうん、美味しい」とテキトーな相槌打ってませんか?
「美味しいけどもう少し○○を足してみた方がいいかもしれない」や「ちょっと濃いかも」という意見はありがたいんです。
あれ、私だけかな……。
それと同じで、私の『出目レオン』も「こうしたらもっと気持ち悪くなるかもしれない」という意見があれば言っていただけるととても嬉しいです。
実は学生時代の作品を大学関係者以外に公開したのは初めてなんです。
クオリティは決して高くないのでちょっと恥ずかしいんですよね。