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文系高卒未経験のアラサー女が町工場に転職した理由〜設計の仕事って実際どうなの?〜
2021.12.23
世の中には色んな仕事があって、どれにしようかな~自分は何が出来るかな~と考え中のアナタ!
製造業なんてどうです?ぜひ私の実体験を聞いていってください。
伊藤。弊社公式Twitter(@atm-mold)を更新している。舞台照明→営業職を経て、現在は金型工場で設計をしながら、自社製品を考えたり広報したりしている。地図を見る時は進路に沿って地図をぐるぐる回しがち。
数ある職種の中から、何故「設計」を選んだか。
これはズバリ、【手に職をつけたかった】からです。
さらに詳しく言うと、「モノを売る側ではなく作る側の方が楽しそう」だったり、「これから身につける知識はより専門的な方が生き抜いていけそう」といった理由も挙がります。
何が起こるかわからないこのご時世、しっかり1人でも生きて行く力を育てなければなりません。
これから新しく知識を身につけるなら、広く浅くではなく、狭く深く。
どうせなら思いっきりニッチなものを頭に詰め込みたかったのです。
あと、CADも触れるようになりたかったし。3Dでかっこいいじゃんね。
(ちなみに当初「CAM」が何の事かイマイチわからなかったし、世間では「CAE」とやらが存在するらしい。読めない。きゃえ?)
***説明しよう!***
CAD:設計、作図するシステム
CAM:加工用NCプログラムを作成するシステム
CAE:なんかいろいろ解析とかする感じのシステム。きゃえ?
めでたく入社〜!が!のっけからつまずく。
まわりの皆が何言ってるかわからない……
まず私は第三角法すらどうやって見るかわからなくて図面までもぐるぐる回すレベルの素人でした。
***説明しよう!***
ここに消しゴムの図面があるとしよう。
第三角法は、その消しゴムの【上から見た図(平面図)】【前からみた図(正面図)】【横から見た図(側面図)】の3つで構成されているので消しゴムの立体形状を2Dで適切に示すことができる……んだが別に消しゴムで例えなくてもわかったね!
そして社内での会話、顧客との会話、いわゆる「専門用語」のオンパレードです。
使う機材や部品、単位、感覚、セオリー、頭の上には常にハテナでした。
φってなんて呼ぶの?ファイ?パイ?マルって呼ぶとかっこいいかも。
刃物の種類?種類って何?全部ドリルみたいな感じじゃないの?
ゴムの?顆粒?(≠加硫。生ゴムを熱や圧力で化学反応させて弾力と断熱性を産み出す)
なんでこんなに板がたくさん重なってるの?この穴なに?いる?ネジ多くない?
これどうやって持つの?触っていいの?これは危ないんですね!?ハイ……
0.1mmってめちゃ小さいんじゃないの?でかいの?あ、入らなくなっちゃうんだ……
【何がわからないかがわからない】という状態から、なんとなく理解できたぐらいでやっと「これなんですか?」「なんでですか?」と質問が出せるようになりました。
ようやくスタートラインです。
よく、「職人」とか「工場」とかで連想しがちな
・仕事は盗め
・背中を見て学べ
こういった環境だったら大変だったと思います。
私の場合は先輩も上司も1聞いたら100教えてくれる人ばっかりなので(もちろん当初は残りの99よくわかっていない)
やればやるほど、聞けば聞くほど知識を増やしていくことができています。
そんなこんなで3年目。現状としてはどんな感じかといいますと
1日のスケジュールとしては、実働時間のほとんどをデスクに座って作業しています。
- 製品図作成:顧客からの支給図面をもとに2Dの図を描いて、3D化する
- 設計:製品形状や成型方法等で金型には色々種類はありますが……いわゆる「たい焼き器」のような単純なものから、10パーツ以上もあるような1t超えの大モノまで、適切な構造で設計をする
- 図面作成:現場で加工する上で必要不可欠な2D図面。どんな形状かはもちろん、部品名や穴の位置なども書き示す
- CAMデータ作成:画面上で切削をシュミレーションしながら、NC加工用のデータを作成する
大まかにこの4つですね。
当然、全部が全部理解できている訳ではないのでしょっちゅう色んな人に教えてもらっています。
しかし3年目にもなると後輩という存在も出現してきました。なので、たまには。
待ってましたとばかりにドヤ顔で仕事を教えています。
納期が迫っていて忙しいときは残業を1~2時間程度することもありますが、基本的には定時で終業します。
デスクワークとはいえ工場内もうろうろするので、装備は作業着上下と安全靴。工場以外のところではクロックスで歩き回っています。楽チン……!!
同じ部署内のメンバーは7名、それぞれ別の案件に携わっています。
雑談しながら出来る作業ではないので、質問とかが無い限りは静かな部屋にマウスのクリック音とタイピング音が響いている環境です。
あとは隣の席から、1日10回程度「しまっったァ~……」と聞こえてきます。先輩!心の声が出てますよ!
さすがにたまに雑談を挟んだり、ちょっとした会議を挟んだり、電話したりしているとはいえ、ここまで静かな環境で働いた事が無かったので最初は戸惑いました。
なんならライブハウスで働いてた時は爆音でしたからね。
さすがにもうすっかり慣れましたが。ヒト科の順応性はすごい。
遠慮がちに押していたエンターキーも今となっては絶好調な打音を響かせています。エンタアアアァアア!!!
これって私だけでしょうか~設計あるある?~
・普段の生活から単位がミリ換算になる
10センチ?いえ、100ミリです!
わたしの身長は1600ミリです。さすがにこれは言わないか。
・デュアルディスプレイが快適すぎる
職場では24インチデュアルディスプレイ。
家でノートPC触ると画面の小ささでめちゃくちゃパフォーマンスが落ちます。画面の切り替えがめんどくさい。。YouTube見ながら作業したい。。
・マウスで小指が痛い
中ボタン(ホイール)をかなり多用するので、人差し指・中指・薬指はそれぞれボタンの上に置く。
そうすると親指と小指のみでマウスを動かすので物理的に疲れるんですよね。
かといってトラックボールに変えた時の最初のストレス半端無さそうで……
有線/無線の拘りは無いですが、静音性の高いマウスはクリック感が妙に重い(カチッとしない)ので、ちょっと疲れますね。静かなのは良いんですが。
・手描き図面にときめく
古い図面だと稀に、手描き製図職人の熟練技術に出合うことがあります。
独特のフォントも良いですね~!!
そして手描きのものは情報がやや限られている印象があります。
手描きをCAD上で再現する際、少ないピースでパズルを解くような、謎解きのような楽しさがあります。
・成形品を見るとやっぱり嬉しい
世の中に溢れかえっているモノ、その多くは金型を用いて製造されているんじゃないでしょうか。
しかし弊社は金型メーカー。作った金型は成形メーカーに納めて、出来上がった成型品は知らず知らずのうちに市場に流れていきます。
しかも車や機器の部品の一部に使われる事が多く、仕上がりを直接売り場で見かける機会も少ない。
このように「それ単体が商品」のものは非常に「完成」を体感しやすいですね。
ここまで、文系高卒未経験のアラサー女が町工場に転職した理由と実際にどんな仕事をしているのかをお話してきました。
まだまだ製造業には女性は珍しいようで、体験談は少ないと思います。
しかしそれは「製造業は女性では出来ない仕事」なのではなく、イメージとしての【3K(きつい、汚い、危険)】が付きまとっているから?
はたまた【CADとか素人には難しいんじゃないの?】【工業系の学校出てないと駄目なんじゃないの?】といったような思い込み要素もあると思います。
大丈夫。なんとかなります。